──お酒の瓶がたくさん並んでますよね~。全部で何種類あるんですか?
店長「ストックを除いて300本くらいですかね。ウチはスコッチが一番多いんですけど、それだけで120種類くらいですね」
ひろこ「多いですよね、すっごい」
店長「でも、表に出しているのは50~60本くらいで、後はこっそりしまってあります(笑)」
UMAG取材陣「ずっとこの場所でされてるんですか?」
店長「イヤ、ここに移転したのは2007年で、その前は船場のホープ軒とかがある辺りでやってたんです」
ひろこ「……あっ、その時に一度、行かせて貰ったことあります。私、あるバーに勤めてたんですよ。それで『シェーカーの振り方が変わってる』っていう噂を聞いて、それをちょっと勉強しに見に行ってこい、みたいな感じで」
店長「僕は名付けて『3Dシェイク』って呼んでます……って、今つけたんですけど」
ひろこ「あははは(笑)」
店長「今つけたから、また変わるかもしれない」
──では「3Dシェイク(仮)」ということで(笑)
ひろこ何かね、音が違うんですよ~。私もそんなに深い知識がないから分からないんですけど、この音は凄いなって」
普通、シェーカーの動きが8の字を描いてるように見えるのは、一定の角度からだけ。それが、この「3Dシェイク(仮)」は、どこから見ても同じ、8の字を描いているように見えるんです!
店長「これは短時間でも拡販率が高いから、ホイップされてるような状態になります。まぁでも、あんまり大したことないんで(笑)」
同業者が偵察に来るほどのこの技、運がよければ見られるそうですよ~。
店長「あとは、ボストンシェーカーっていう大きいシェーカー使って、フレッシュフルーツのカクテルを出したりする時もあるんです」
ひろこ「果汁入りってことですか?」
店長「果汁じゃなくて、一緒にシェイクしちゃうんですよ、果実と氷とお酒と。最後はちょっとだけ繊維が残るように粗ごしして。めんどくさいんですけど(笑)」
ひろこ「わぁ、美味しそう~」
──うむむ、果肉感が残ってるカクテルなんて、気になりますねぇ。お恥ずかしながらワタシ、あんまりバーに足を運んだことがなく、ちょっと抵抗があるんですよ。
店長「よくね、そう言われる方多いんですけど、お酒に詳しいのはバーテンダーだけなんです。一般のお客様は実は詳しい人ほとんどいないんですよ。知らなくても、カウンターに座って『ジョニーウォーカーのグリーン、ストレートで』なんて言ったら、知ってそうじゃないですか。でもその人、それしか飲んでなかったり(笑)。気楽なモンなんですよ、ホントは。知らない状態で来て、自分の好みを言ったら出てくる。それがバーのいいところなんです」
──バーテンダーさんからすると、お客さんが話しかけてきたり質問してくることって、いいことなんですか?
店長「ええ、情報がたくさんある方がこちらも提供しやすいんです。例えば、お酒が強いか弱いかはまず分からないんで」
──バーって静かにしなきゃいけないってイメージがあったんですけど、何でも言ったらいいんですね。
店長「お酒飲むのに、緊張するのっておかしいじゃないですか。リラックスして飲むものなのに。結構みんな、騒いでますよ。あんまりうるさかったら退場ですけどね」
──ホテルでフレンチ・イタリアンの料理人、バーテンダー、パティシエに焼き鳥屋さんなど、10代から多数の経験を持つという店長さん。どうしてこのお店をやろうと思われたんですか?
店長「仕事終上がりにご飯食べに行っても、開いてる店ってないんですよ、遅いですから。あっても、食べるモンはあるんですけど、飲み物が全然ないんですよね。知り合いがやってるバーに行った時は、飲み物はちゃんとしたものがあっても、食べるものがナッツしかない。それで不思議やったのは、料理を一生懸命やってる店はお酒に全然力が入ってなくて、お酒を一生懸命やってるトコは料理が全く手薄。ってことは、両方ってできひんのかな、って思って。両方やった経験がある人間からすると、ただの怠慢やな、って思ったんですよ」
ひろこ「うんうん」
店長「じゃあ、両方できる店を作ればエエやんって思って、独立してやろうって思ったんです。それがコンセプトやったんです」
シェフやバーテンダーの経験があるからこそ、辿り着いたコンセプト。今回お伺いした、お店を開くまでの経緯は紹介しきれず、泣く泣く割愛させて頂きましたが……ベストセラーが1冊、書けるかもです。
今回のお勧めコースのメニューは、魚のオードブル、肉のオードブル、季節のサラダ、魚料理、肉料理、本日のスパゲティ。ボリューム満点のこのお料理に2時間飲み放題が付いて、通常は5,500円のトコロ、クーポンを使えば4,500円になっちゃいます!
ひろこ「このカルパッチョ、美味しい♥お肉料理が2種類もあるし、凄い贅沢~。しかも、本格的なお酒が2時間も飲めるなんて」
店長「全種類ではないんですけど、お店でオーダーできるドリンクの8割以上は出せます」
UMAG取材陣「それだけを飲み放題で飲めるお店って、あんまりないですよね」
店長「こっち側ではかなり限定してるんですけどね。でも、数が多いから、お客様側からすると全メニュー飲んでる感覚になれると思います」
UMAG取材陣「人数が多いと、お酒は何でも飲める人や全く飲めない人、カクテルしか飲めない人、いろんな人が集まるから、種類が多いって結構重要!」
仕入れの関係上、2名様以上で2日前までに要予約とのことです。ちなみに、ケーキをご希望される方には、予約をすれば別途料金で作ってくれるとか(10人分で4,000円のホールケーキ1台が目安)。二次会のために作られたケーキの写真を見せて頂きましたが、さすが元パティシエだけあって、可愛らしいデコレーションでした。バーでここまでのケーキを作って貰えるなんて、予想外です!
──お店の雰囲気って、何かをイメージされてるんですか?
店長「特にないですね。よく言われるのが『ブリティッシュパブみたい』。ドリンクもフードもあって、気軽に飲めて、っていうのがパブに共通する部分。『パブ』っていってもあんまり分からんかなって思って、『レストランバー』ってつけてるんだけなんで」
──確かに、「いかにも」っていうバーじゃなくて、普通にゴハンもできる雰囲気。きちんと食べられて、きちんと飲めるっていう。
店長「僕はそれが、スタンダードになればいいな、って思ってるんです」
店長さんの経緯もさることながら、その巧みな話術に取材陣一同、笑いっぱなしでした。Straw Hatに来たら是非、店長さんに話しかけてみて!
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店長さんのお話が面白かったですね~。「3Dシェイク(仮)」で作ったカクテルは、口当たりがよくてすっごくクリーミーでした。お料理も美味しくて……シェフでもありバーテンダーでもあるのは凄いな、って思いました。本格的なカクテルがいろいろ味わえつつ、本格的なお料理もしっかり味わえるから、誰でもどんな時でも使えるお店ですよね。