──「喃風」って、ちょっと変わった名前ですよね。
小林さん「もともと『喃風』っていうのは、『南の風』っていう喫茶店の跡地にオープンしたんです。そのうちお客様が『南の風』の『の』を取って『なんぷう』って言い始めて。それで『喃風』になったんです」
──なぜ、お好み焼き屋さんを始められたんですか?
小林さん「『八番』っていう、行列のできるお好み焼き店の味を受け継いでオープンしたんです。当初はお好み焼き自体が柔らかかったんですよ。今の『どろ焼』がその原型なんですけどね」
──「どろ焼」って、もんじゃ焼きでもお好み焼きでもない、不思議なメニューですよね。生まれたきっかけを教えてください。
小林さん「お好み焼きを食べに来たお客様が、『たこ焼きが食べたい』って言われましてね。でも、たこ焼きを焼くあの丸い鉄板がなくて、即興でいつもの鉄板で焼いたんです。たこ焼きみたいにタコ入れて、玉子入れて、ちゃんとホンマにたこ焼きの生地でね。お客様の気持ちに添えたい一心で、焼いたんです。それをスプーンで食べたのが今の『鉄板たこ焼(580円)』のカタチで、それにキャベツ入れたり葱入れたりした、お好み焼きバージョンが『どろ焼』なんです」
──お客さんへの心なくして、人気メニューの『鉄板たこ焼』や『どろ焼』は生まれなかったワケですね。
小林さん「姫路の地元ではね、『喃風イコールお好み焼き』っていうイメージがあったんで、当初はお好み焼きが根強かったんです。でも新店ができて、それが東に行けば行くほど『どろ焼』が人気商品になっていきましたね」
お客さんの3人に1人は必ず注文しているという「どろ焼」。ある女優が人気番組で紹介したり、大手一流メーカーからは「どろ焼」の商品化のオファーが来たりというんだから、その味に間違いなし!
かなこ「この『どろ焼』、直接スプーンで食べるんですか?」
小林さん「はい、鰹の和風出汁につけて、どうぞ」
かなこ「おいし~♥ 何か、変わった味? すっごい美味しいです。出汁の味がして、想像してた味とチョット違う感じ。しかもすっごい柔らかい~」
「どろ焼」って、いろいろ種類あるんですね。「どろ豚(680円)」、「どろすじ(830円)」、「どろもちチーズ(830円)」……。
小林さん「そう、お好み焼きと一緒。今日のは『どろ豚』ですよ」
かなこ「トロットロなのかと思ってたら、意外とモッチリしてる感じですね。結構弾力があります」
しかしホントに柔らかいですよ~。キャベツの食感がそれを一層引き立ててますね。あっさりとした味わいの中に、お出汁がよく利いてます。
小林さん「『どろ焼』って、鉄板の温度が大事なんです。生地なんて、シャバシャバの汁ですもん。だから、250度の、もの凄い高温で焼くんですよ。普通のお好み焼きって200度以下なんですよね。これ、なかなかできないんです」
実際の調理の過程を見せて頂きましたが、この生地というものは……ホントに、サラッサラの液体。鉄板に流すと大きく流れて広がっていってしまいます。それをクルクルと折り込んで、ぽってりしたオムレツのような形に焼き上げる。生焼け部分を作らずに柔らかく仕上げるこの技こそ、『どろ焼』の美味しさの秘密だそうです!
──こちらは「鉄板たこ焼」ですか? 一見しただけだと、「どろ焼」と同じものに見えますね~。
かなこ「タコがおっきい! トロットロです~、美味しい♥ 『どろ焼』よりも、トロ~っとしたカンジ。味は似てるけど、ちょっと違う……甘い。この食感は初めてですね。見た目も」
小林さん「マヨネーズつけても、ソースで普通に大阪風に食べても、出汁につけて明石風に食べても美味しいですよ」
「鉄板たこ焼」の方が玉子の味が強く、一段とふんわりしてます。実際、揺らせばプルプル震えてましたもん!(この『鉄板たこ焼』を目当てに、「喃風」に通ったUMAGスタッフもいるようで……) そしてこちらも、お出汁の風味が生きてますね~。
小林さん「やっぱり出汁が利いてるものは美味しいし、隠し味になりますしね。一口で食べて、ソースだけの味やったら1枚だけの味でしょ? そんなんは偽物ですよ。食べてソースの次に出汁の味が来るとか、二重三重に味があることがやっぱり美味しい。隠し味っていうのは、全部そうですよね」
──「喃風」って、特に姫路周辺だと、ちょっとドライブしたら必ずどこかで見掛けます。
小林さん「そうですね。全国の方に食べて頂きたい、というのが社長の思いなんです。もの凄い腰低い人なんですよ。お客様にも業者さんにも同じ姿勢なんです」
かなこ「うわぁ、ステキ~」
小林さん「本部では朝9時に出勤して、そこから半径100メートルをみんなで掃除するんですけど、社長が率先してやられてるんです」
かなこ「凄いステキ~。感動しました。ちょっと何か、ウルウルってきました」
『喃風』を大きく支えるスタッフは、全員が社長さんのその人柄に惚れ込んでついていっておられるんだとか。
小林さん「来て頂いたお客様には、必ず感動して貰おうというのが私達のポリシーなんです。感動っていうのはね、ちょっとした気遣い。例えば、薬を飲もうとされた方には、氷のないお水をお出しするとか。『ありがとう』って言って貰えるような接客をする、っていうのが『喃風』の考え方なんですよね」
こういった定番メニューの他、季節限定メニューや、店舗オリジナルのメニューが存在するとのこと。いろんな『喃風』のお店を比較してみるのも、『喃風』の楽しみ方のひとつかもしれませんね。
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社長さんのお話に感動しました。小林さんの人柄とかもステキで、そんな人達が心を込めて作られてるっていうのが凄い伝わってきて、その内容を深く知れたのがよかったなぁと思いました。
スプーンで食べるのが面白いですよね。男の人と一緒でも、コテとかよりスプーンだったら可愛く食べられるし、切ったりしなくていいので食べやすいと思いました。モチロン味も美味しいし、お好み焼きとかあんまり食べに行かないんですけど、また来たいと思いました♥